こんにちは、hokkyokunです。
投資を始める上で最も気になるのは以下のことじゃないかと思います。
その感覚は私も含め多くの人が抱く感覚で、
人は利益を得る喜びよりも損をする痛みに2倍敏感だといわれています。
残念ながら投資には確実に損をしない方法はありません。
ただし、これくらいやれば負ける可能性はかなり低くなるという線引きは可能です。
具体的に言えば
優良株を4年以上つみたて投資すると負ける可能性はかなり小さくなります。
今回はその根拠について解説していきます。
以下の優良ETFを何年以上続けると負けにくくなるか、
過去データからリアルシミュレーションしてみたいと思います。
- SPY(S&P500連動ETF)
- VTI(米国全体のインデックスETF)
- VT(全世界のインデックスETF)
- VYM(米国高配当ETF)
- AGG(米国債券ETF)
株式投資は長期投資で負けにくい
長期保有は負けにくい(引用:敗者のゲーム)
有名な投資の本に敗者のゲームという本があります。
この本から少し引用します。
下記の図は資産の保持期間と収益率の関係性を表した図です。
保持期間が1年のような短い期間では株式はかなりばらつきが生じていることがわかります。
一方、5年10年と投資するとばらつきはかなり抑えられ、
20~25年で全く損をしなくなります。
このように
投資はリスクが高いことが知られていますが、
続けることにより、どんなに悪い状況から始めても利益を出すことができます。
これはすごいことで
人類史上未だに、(米国)株を長期保有して損した人は一人もいないということです。
未来はもちろんわかりませんが、我々はもっとこの事実を意識するべきです。
つみたて投資も長期投資で負けない
では、つみたて投資はどうなのでしょうか
限られた優良ETF、過去20年(ETFのデータが少ないので)という制約はありますが、
また、
銘柄によっては6~10年のつみたて投資で100%損をしません。
つみたて投資のこのような結論に至った経緯について
本ページで詳しく解説していこうと思います。
ルール
こちらは飛ばしていただいてもかまいません。
ざっくりいうと以下のルールで検証します。
優良ETFを1~10年間、日付をずらしながら積立し、
利益がマイナスになる可能性はどれくらいかを検証
ルール詳細
詳しいルールは以下の通りです。
時間があればご確認ください。
- 過去データを用いてつみたてシミュレーションを行う
- つみたて投資は1~10年間毎月100ドルを月初に投資
- つみたて投資満了後の利益率を評価対象とする
- 検証するETFは下記参照
- 投資の開始日は一営業日ずつずらし、統計を取る
例えば:VTI 10年間つみたての場合- 先ず、2012年10月11日(開始日)から2022年10月11日(終了日)までのデータを取る
- 以降、開始日、終了日を一営業日ずつずらし、データがある限り(2001年6月15日)少しずつずらしながら計算してみる。
- 開始日を一営業日ずつずらしたデータの平均値、中央値等を用いて分析する
銘柄候補
今回、分析をするうえで下記の銘柄を候補としました。
- SPY(S&P500連動ETF)
- VTI(米国全体のインデックスETF)
- VT(全世界のインデックスETF)
- VYM(米国高配当ETF)
- AGG(米国債券ETF)
SPYはS&P500連動のETFです。
ただし、本サイトではS&P500を投資するならVOOを推奨しています。
経費率はVOOの方が安いので、
同じインデックス投資なら経費率が安いものを買うべきです。
では、なぜSPYでシミュレーションをするかというと
VOOは設立されて日が浅いのでまだデータが少ないためです。
その点ご了承ください。
箱ひげ図によるばらつきの可視化
データを可視化して見やすくするように
箱ひげ図を用いています。
箱ひげ図とは下記のようなものです。
ある値の分布がどのようになっているのかを
視覚的にわかり易くまとめることができます。
例えば、データの下から25~75%の値が
グレーの箱のような図の幅で分布していることがわかります。
ETF毎のつみたて結果
箱ひげ図を用いて
開始日を一営業日ずつずらし、
1~10年積み立てした場合のデータの分布です。
後で各ETFを詳しく検証します。
先ずはざっと傾向を見てもらえればと思います。
下のひげ根が異常に長いです。
本来箱ひげ図は外れ値を自動で検出し、
異常に高かったり、低かったりする値を除外してくれるのですが、
あえて外れ値も全部表示して、
こういうケースもあるということを示しています。
次に各ETFを詳しく見ていきます。
VTI
先ずVTI(全米に投資するインデックスETF)
データは2001年6月18日~2022年10月11日までの間です。
この間に開始日を一日ずつずらし、実際のデータでつみたてシミュレーションしています。
かなり、下ひげが長い一方で、
1年目から75%以上のケースでプラスになっていることがわかります。
過去データからは9年間以上投資をするとマイナスになるケースは一つもないようです。
SPY
次はSPY(S&P500連動ETF)
データは2000年1月3日~2022年10月11日までの間です。
この間に開始日を一日ずつずらし、実際のデータでつみたてシミュレーションしています。
SPYは経費の問題のせいか、あるいはデータの期間の問題のせいか
VTIよりも下値の幅が大きいように感じます。
過去データでは10年以上つみたてするとマイナスになるケースはひとつもない
ことがわかりました。
VT
次はVT(全世界に投資するインデックスETF)です。
データは2008年6月27日~2022年10月11日までの間です。
この間に開始日を一日ずつずらし、実際のデータでつみたてシミュレーションしています。
VTIやSPYなど米国に集中投資する銘柄と異なり、
全体的に値幅がコンパクトです。
2008年9月のリーマンショックの直前からのデータなので
その影響もあると思います。
単純にVTIやSPYよりも優れているとみていいかどうかは難しいですが、
ある程度分散投資により、値動きが抑えられているのかもしれません。
その影響でわずか7年間のつみたてでマイナスになるケースはひとつもなくなります。
一方で、全体的に利益は米国投資よりも抑えられているようです。
VYM
次はVYM(米国高配当ETF)です。
データは2006年11月17日~2022年10月11日までの間です。
この間に開始日を一日ずつずらし、実際のデータでつみたてシミュレーションしています。
こちらもリーマンショックの影響が
比較的少ないデータ期間になっているかもしれません
それを差し引いても値幅はかなりコンパクトかつ、
最低値も年数を重ねるごとに切りあがっています。
利益率もVTIやSPYよりも中央値が高く、かなり優秀なETFということがうかがえます。
データ上は7年以上つみたてすると損するケースはひとつもなくなります。
AGG(意外に債権は安全じゃない?)
最後はAGG(米国債券ETF)です。
データは2003年9月30日~2022年10月11日までの間です。
この間に開始日を一日ずつずらし、実際のデータでつみたてシミュレーションしています。
データ上は7年以上積立すると損するケースは一つもないことがわかりました。
意外に絶対損しないまでに時間がかかるようですね。
一見、思ったほど安全じゃないように感じられますが、
べつの角度から分析するとやはり債券は安全に投資ができるポテンシャルを秘めていることがわかります。
後ほど、詳しく分析しますが、
損をする確率は他の銘柄よりも全体的に低く抑えられています。
今回の分析は一営業日ずつずらしてつみたての検証をしています。
当然、膨大なシミュレーションデータが発生しますが、
AGGは1年積立するとその膨大なデータの90%(つまり適当に投資を始めても90%の確率で)損をしないことがわかりました。
まとめ(損しないための目安)
大前提として強調しなければいけないことは
否定ばかりですが(笑)、事実です。
ただ、今回の検証は、無意味だと思っていません。
それどころか、自信をもって投資を継続する強力な心の支えになると思っています。
過去20~23年ほどの限られたデータとはいえ
今回選んだ銘柄はすべて遅くとも10年以上の投資で全く損しなくなります。
この間にリーマンショックもありましたし、2020年の暴落も経験しています。
2000年代は米国株不調の時代ですし、2022年も株価は下落が続いています。
にも拘わらず10年の投資で損をしなくなります。
今後も極端な例は出現するかもしれませんが、
10年前後の投資でどんなに運が悪くても利益が出る可能性は高いです。
さらに踏み込んで
今回のデータを以下の観点で分析してみます。
- 絶対に損しないための日数
- 肝心の利益
- バランスの取れた目安は?
絶対に損しないためには何年以上投資するべきか
過去のデータをみると、極端にパフォーマンスが悪いタイミングがあります。
そのような「極端に悪いタイミング」でも、
利益が出るまでに必要な年数はどれくらいなのか検証します。
極端な例を知っていると「最悪なケースでも○○年やれば貯蓄よりもマシ」と考えられ、
メンタル維持の大きな武器になります。
絶対に損しないためには
何年以上投資する必要があるかを下図でまとめました。
ETF | 絶対プラスに なるための 必要年数(年) | 必要年数時の 利益最小値(%) | 利益最小値 の期間 | 検証データ の期間 |
AGG | 7 | 2.11 | 2015-10-09~ 2022-10-10 | 2003-09-30~ 2022-10-11 |
SPY | 10 | 13.73 | 2000-06-30~ 2010-07-02 | 2000-01-03~ 2022-10-11 |
VT | 7 | 3.58 | 2013-03-22~ 2020-03-23 | 2008-06-27~ 2022-10-11 |
VTI | 9 | 18.27 | 2001-06-28~ 2010-07-02 | 2001-06-18~ 2022-10-11 |
VYM | 6 | 1.78 | 2014-03-24~ 2020-03-23 | 2006-11-17~ 2022-10-11 |
必要年数が最も少なかったのはVYMです。
わずか6年で最も運悪く投資した2014年3月24日~2020年3月23日の期間でも
1.78%の利益が確保できています。
その次にVT,AGGが続きます。
データ期間に恵まれた可能性もありますが、
VTは分散投資、AGGは債券による値動きが抑えられたことが要因かもしれません。
VTIやSPYなど米国株系はもう少し期間が必要ですね。
とはいえ、10年程度で絶対損しないのだから十分といえば十分です。
バランスの取れた投資の目安は4年以上
次はおおむね損をしないタイミングを検証したいと思います。
絶対に損をしないというのももちろん大事で
その気持ちは大切にしておいてよいと思いますが、
現実的にあまり起こらない事象に心を満たしても判断を誤ります。
そこで銘柄ごとに
統計データ中75%~100%の確率で損をしなかったのは
何年以上つみたてた場合かをまとめてみました。
利益がプラスに なる確率(%) | AGG (年数) | SPY (年数) | VT (年数) | VTI (年数) | VYM (年数) |
75 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 |
80 | 1 | 2 | 1 | 1 | 1 |
85 | 1 | 2 | 2 | 2 | 2 |
90 | 1 | 4 | 2 | 2 | 2 |
95 | 2 | 7 | 3 | 7 | 3 |
100 | 7 | 10 | 7 | 9 | 6 |
例えばAGGの場合は
一年の投資で、90%損をしていないことがわかります。
こうやってみるとAGGはやはり安全ですね。
ただ、他の銘柄も一年目から少なくとも75%が損をしていません。
4年以上の投資で
90%以上の確率で損はしない
ことがわかります。
肝心の利益は?
投資の目的は損しないことではなく、
利益を積み上げることです。
損をしないことも重要ですが、
同じかそれ以上に利益があがっているかのチェックも必要です。
今回検証は投資開始日を少しずつずらして分析していますので
めちゃくちゃ利益が出たタイミングとほとんど出なかったタイミングが存在します。
よって、データの中央値と平均値からETFの性能や投資期間の評価をしたいと思います。
下に平均と中央値でそれぞれグラフを描きました。
VYMが明らかに強いですね
全期間で強い!!
その次は、VTIが強い!
VYMやVTIに投資しておくと、
利益も高く、また、10年未満の投資でかなり高い確率で損をしないと思われます。
AGGはやはり全期間を通してとびぬけて利益率が低い。
債券なので仕方がないですが、利益を稼ぐには心もとないですね。
4年以上の投資を意識することをおすすめ。
以上、分析をしてきました。
繰り返しにはなりますが、
必ず未来がこうなるというわけではありません。
データが少ないと言われれば、否定はできません。
ただ、それでもここ20~23年は4年以上の投資を行うと
少なくない確率でプラスに転じていることがわかります。
上でも書きましたが、この間にリーマンショックをはじめ、
多くの暴落があったのにです。
積立投資は長期投資前提です。
できれば15年以上の長期を見据えて投資をするとよいと思われます。
また、投資はあくまで淡々とです。
タイミングを図ったり、変に個別株を買ったりではなく、
(少なくともメインの投資は)優良ETFを定期購入です。
特定の銘柄を推奨することは控えますが、過去データを見る限り、利益率の平均が高いのはVTIやVYMあたりということになります。
VTIとVYMに関してまとめた記事ありますので、よかったら覗いてみてください。
VTI
VYM
わずかでも損をする可能性があるのが心配であれば
AGGを積立するのも悪くはありません。
資産効率が悪いのは事実ですが、
定期預金よりははるかに良い選択です。
そこから投資をするという行為に慣れていき、
わずかでも株式投資に移行するステップとしてとらえればと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか
まとめてみます。
- SPY(S&P500連動ETF)
VTI(米国全体のインデックスETF)
VT(全世界のインデックスETF)
VYM(米国高配当ETF)
AGG(米国債券ETF)
を研究対象 - 過去20数年のデータから分析
- 積立投資期間10年未満で100%損をしない
- 4年間の積立期間で90%以上損をしない
- 過去データを見る限り、成績が良かったのは
VTIやVYM
最後に米国株に強い証券会社を二つ紹介します。
- 米国株手数料が業界最安値(0.2%)、他社(0.45%)
- 米国株取扱銘柄は約7,000銘柄
- 約4,000銘柄の米国株銘柄に1株未満。
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